3月4日(土)に、宮崎市と連携した移住イベントを東京・霞が関にて開催いたしました。開催場所は、地方と東京をつなぐオープン・イノベーションをテーマにしたコワーキングスペースSENQ霞が関です。
今回は、慶應義塾大学大学院の前野隆司教授をゲストに迎えて、「地方で幸せに暮らす」をテーマに開催しました。
まずはじめに、宮崎市役所観光商工部の深田崇弘さんより宮崎市の紹介が行われました。深田さんは宮崎市の職員として、若者の視点から宮崎を盛り上げようと活動されています。
現在取り組んでいるのは、「宮崎の今を届けます。」とうたい情報発信を行っている「20do」。ウェブサイトやスマートフォンアプリで展開する情報サイトです。「20do」では、移住者インタビューも定期的に掲載しており、宮崎市を様々な視点から見て考えることができるようになっています。
今回もイベントのモデレーターを務めるのは、全国各地で地域の仕事づくりを行う地域プロデューサーの齋藤潤一さん。「地域に必要な視点」として、お金と笑顔のバランスを指摘します。「思いだけの地域づくりは長続きしません。一方でお金だけの地域づくりも同様です。笑顔=エミーと、お金=ゼニーをバランスを保ち持続可能にするための事業創造が必要です」と、地域づくりのために欠かせない視点を提供します。
続いて登壇されたのは今回のメインゲストでもある慶應義塾大学の前野隆司教授。前野教授の専門は「幸福学」です。一見抽象的にも見えるテーマですが、科学的な手法で「幸福」を研究し、啓蒙する学問分野のプロフェッショナル。
前野教授は、「地域しあわせラボ」との共同研究の事例を参考に、九州・沖縄地域の幸福度が高いことに注目し、幸福学の基礎に触れていきます。
「金、モノ、社会的地位などを『地位財型の幸せ』と呼んでいます。一方で、安全や心の状態や環境が良いことで幸福を感じるのは、『非地位財型の幸せ』です。地位財型よりも、非地位財型の幸せの方が長続きすることがわかっています」
「地域しあわせラボ」の研究から見えてくることは、稼ぎが多い東京などの都市圏よりも、稼ぎは高くなくても非地位財型の幸せが高い地域は、幸福度が高いということです。地域で自分らしく働くことと、地方で幸せに生きることのヒントが隠れていることを予感させる、示唆に富むプレゼンテーションとなりました。
後半はインタークロス代表の小川を交えて、4人でのパネルディスカッションが行われました。深田さんは、生まれも育ちも宮崎市。多くの若者が、大学進学などを機に出ていく風潮がある中で、なぜあえて残る選択をしたのでしょうか。
「宮崎が大好きだからです。宮崎を愛しています。出ていった友達たちも、いつか戻ってくると思っていて、だからいつ戻ってきても大丈夫なように、自分がハブになるために居続けようと思っています」と理由を語ります。深田さんが語る、「隣の人が野菜を置いていってくれる」や「通勤の様子」など、宮崎の日常風景の説明に、参加者の方々からも、「一度行ってみたくなりました」という声も上がります。
前野教授は、「幸福に生き、働くために弱いつながり」が欠かせないといいます。自分の好きなことで他人に貢献することができると、幸せなした社会になるだろうと指摘します。
そして前野教授から最後に「言うなれば、このイベントも宮崎との弱くゆるい繋がりを繋ぐ場だと思います。深田さんのような方がいるからこそ、実際に行ってみようとなって、そこでまた繋がりが生まれたりしていくでしょう」と、この場の意義を強調しディスカッションは終了となりました。
今回も大盛況となった宮崎移住イベント。継続的に実施することで、実際に宮崎を訪れたという事例も増加中。
地方移住が気になる方、ぜひ一度遊びに来てみてください。