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2017/09/11

「宮崎には何もない」と言うのをやめてみませんか?

株式会社リブセンス 宮崎オフィスセンター長 遠藤正幸さん



インターネットメディア運営会社「リブセンス」宮崎オフィスのセンター長遠藤正幸さん。兵庫県生まれ、栃木県育ちで宮崎には縁のない暮らしをしてきましたが、34歳の若さでセンター長に抜擢、2015年に家族とともに転居してきました。

リブセンスの地方拠点として看板を背負い、「社員の兄貴」的存在として約90名のメンバーを引っ張る遠藤さん。宮崎で働く意義を見出し自ら宮崎に居続ける道を選択しました。地元ではないからこそ見えるワークライフはどのような景色なのでしょうか。お話を伺いました。


「宮崎に行けない理由は何ですか?」



2012年、史上最年少社長が東証1部上場したことで話題になった「リブセンス」。2014年に社長の人柄に惹かれ転職をしましたが、翌年宮崎オフィス開設の話が出た当初は他人事だったと言います。

遠藤さん「会社から唐突に“宮崎に行けない理由は何ですか?”と聞かれたんです。育児など行けない理由を立てていったのですが、宮崎は子育て環境もいいって聞くなぁなど一つずつ自己解決していき、“行けない理由はありません”と返事をしました。」

子どもが生まれたばかり、かつ当時の担当業務は現在と全く異なるものだったため、まさか自分に白羽の矢が立つとは思っていなかったと言う遠藤さんですが、宮崎赴任を受け入れた背景には、ある思いがありました。



遠藤さん「2015年、子どもが生まれる1ヶ月前に父親が急死しました。前日まで元気に働いていて、倒れたその日に亡くなったんです。孫の誕生をとても楽しみにしていた父が突然いなくなり、当たり前の存在を失う寂しさや、人生の有限さを実感し、自分の人生を見つめ直すなかで宮崎赴任の話をいただきました。

宮崎には子どもの頃に一度来たきりで、自分の人生には全く関係のない場所だと思っていました。でも実は母親が宮崎出身だったのです。父親が亡くなった直後に母親の出身である宮崎に行ってくれと言われたことが、必然なのか偶然なのかは分かりませんが、運命めいたものを感じ、宮崎に行く決意をしました。」


“東京が一番”の概念を覆された



遠藤さんの決断に、奥様も理解を示し気持ちよくついてきてくれました。子どもが生まれて7ヶ月、知り合いもいない新天地で一家揃っての出発でした。

遠藤さん「週末は必ず温泉に行くなど、家族で宮崎を満喫しています。先日は蛍を見に行きました。寝るときに聞こえる虫の声、元気いっぱいな子どもの挨拶など、東京にはない景色が当たり前にある日常に驚きと幸せを感じています。

東京にいる頃は“何においても東京が一番”だと思っていましたが、宮崎の人柄の良さや美しい風景に触れ、その概念は覆されました。」


宮崎での「リブセンス」の知名度の低さに衝撃



そうして宮崎オフィスのセンター長に就任した遠藤さん、まずリブセンスの知名度の低さに衝撃を受けたと言います。しかしそれを“リブセンスの伸びしろ”だと前向きに受け止めました。

遠藤さん「東京では、名刺交換をするとおおよそ“村上さんの会社ですよね”と言っていただきますが、宮崎ではほとんど通用しませんでした。同時に、東京では関わる機会が少なかった業界の方とも、宮崎では出会う機会があると実感しました。

リブセンスは、事業に対し社会にある課題をITで解決していきたいという共通の想いがあります。宮崎では、行政や市民と関わる機会も多く、より広い視野で会社としての社会貢献や地域連携を考えるようになりました。3年後には市民にリブセンスの名前を浸透させたい。これは頑張り甲斐があるなと嬉しくなりました!」



会社やIT業界全体の認知向上のため、対外的な活動も始めました。宮崎ジョブシャドウイングやジョブカフェ(※)で学生を受け入れたり、大学生と交流するなど、窓を開けて積極的に情報を開示しています。

遠藤さん「若者の県外流出や雇用の課題は、大人に責任があると思っています。
まずは若者に、地元にいながらにしてビジネスやITのスキルを身につけ仕事の幅を増やせる事実を知ってもらい、職業の選択肢を広げてあげたいです。

親、先生、行政、企業など、まずは親世代の我々が宮崎って素晴らしい場所だよねと認識して伝えていくことが大切。大人がもっと宮崎に対する自信や誇りを子どもに伝えることができれば、状況は必然的によくなると思っています。」


遠隔コミュニケーションの課題は絵文字で解決!


▲中学時代は生徒会長、高校時代は野球部主将と、これまでも人をまとめる要職が多かった遠藤さん。教育免許を取得し、長年教育業界で働いていたこともあり、社員教育には人一倍力をいれています

最初は6名でスタートした宮崎オフィス。当時会社が目標としていた人員計画は「2年で23名」でした。しかし、遠藤さんはもっと伸びるという確信をもっていたと言います。

その確信通り、たった2年で90名規模にまで成長。その全員が正社員で、遠藤さんはリーダーとして一人ひとりを育てることに注力しています。

遠藤さん「90人のメンバー各々に家庭があり、間接的にその人たちの人生にも関わっているのだという責任を東京以上に感じています。身が引き締まる思いでもあり、やりがいを感じています。

センター長の本質は人を育てること。メンバーが生き生きと楽しそうに働いている姿を子どもが見て、働くって楽しいんだなと夢を持ってもらえたら嬉しいです。」



宮崎ならではの働き方の確立にも尽力しています。例えば子どものいる社員が授業参観やお迎えに行きやすいよう1時間単位で有給が取れる制度を発案しました。これは本社にも取り入れられましたが、働くママが多い宮崎オフィスはより積極的に利用、推奨されています。

東京本社との遠隔コミュニケーションの課題は、「絵文字」を使用することで解決に導きました。

遠藤さん「リブセンスでは、社員同士のやり取りをチャットで行う文化があります。チャットは基本的に文字だけのやりとりなので、自分の思いが正しく伝わらないことが多々あります。その解決策として、必ず最後に顔文字や絵文字を入れるよう指示をしました。その2〜3秒の作業で自分の感情が正しく伝わりコミュニケーションが円滑に進むので、その手間は惜しまないよう伝えています。

おかげで、東京と遠隔でも仕事をしづらいと感じることはありません。宮崎に来て1年目は、1度も東京に行きませんでした。行かなくても仕事ができたんです。遠隔を言い訳にせずに積極的に発言をすることを意識しています。」


地方だからできる当たり前をつくる



リブセンスのコーポレートビジョンは「あたりまえを、発明しよう。」。先日、「地方からあたりまえを、地方だからできるあたりまえを」という宮崎オフィス独自のビジョンをつくりました。

遠藤さん「東京にいた時から、日本を良くしようとか、地方創生などと謳っていましたが、それは偏っているのではないかと思いました。

東京には上場企業やベンチャー企業など、人気企業の縮図が様々ありますが、宮崎ではITそのものがあまり根付いていないですよね。東京では人材紹介や求人サイトを使って転職することがあたりまえですが、宮崎ではまずハローワークに行ったり、縁故採用も多いです。それは宮崎に来てみて痛感したことです。

本当に日本のあたりまえを作りたいのであれば、東京からの視点だけのあたりまえを作るのは偏りが出ると思います。だからこそ、宮崎から東京に地方の良さや課題、流儀を伝えて、逆に宮崎にも大都市の良さと課題を伝えて、相乗効果で良い意味でのあたりまえを創っていきたいと思っています。」


「宮崎には何もない」という人は間違っている!



遠藤さんは宮崎出身ではないからこそ、冷静に宮崎の良さを見つめ、「宮崎で働くこと」に大きな可能性を見出しています。

遠藤さん「宮崎オフィスが大好きです。宮崎のワークライフバランスは、きっとこれから日本のロールモデルになっていくと思います。

だからこそ“宮崎には何もない”と言う大人の声を聞くたびに残念に思います。宮崎に何もないのではなく、誰も手をつけていない所がたくさんあるのです。外から来た僕から見ると、宮崎はすごく魅力的で可能性に溢れていますから。」


「これが私の思いです、もっと宮崎にいます」


▲宮崎オフィスをゼロから作り上げ、メンバーと一緒に育ててきた遠藤さん。大変な苦労も「ありたがい機会」だと捉え、チャンスに変えてきました

2年の期限を自ら延長し、自ら宮崎に残ることを決め、住宅地に一軒家を借りた遠藤さん。仕事と家庭、全ての歯車がぴたっと合い、迷いなしの決断でした。

遠藤さん「社長に“これが私の思いです、もっと宮崎にいます”」と伝えました。宮崎オフィスの規模も大きくなり、今の社員と一緒に働きたいという思いが強くなっていきました。

メンバーが成長する姿を見ていて嬉しいですし、仕事の濃度を感じて欲しい。リブセンスに少しでも関わった人が当社に出会えて良かったと言ってもらえるように、一人一人しっかりと向き合っていきたいです。そして、有言実行で宮崎に貢献し、一人でも多くの人に幸せになってもらいたいです。」

東京と宮崎の違いを活かし、相乗効果で宮崎オフィスも本社も、そして宮崎の社会も伸ばそうと奮闘している遠藤さん。仕事に子育てに全力投球の遠藤さんの活躍がますます楽しみです!


(Text:齋藤めぐみ)


プロフィール
遠藤正幸:兵庫県出身。早稲田大学卒業後、英国ケンブリッジに留学し、ロンドンで働いた経験を持つ。帰国後は大手教育会社に入社し、2014年株式会社リブセンス入社。2015年、同社宮崎オフィスセンター長に就任。

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