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2018/01/31

「機は熟した!」。宮崎から世界へ、書道で勝負できることを身をもって証明したい

書道家 今井美恵子さん



宮崎を拠点に世界で活躍する書道家、今井美恵子さん。全国各地で個展や書道パフォーマンス実施、オリンピック代表候補の選手への書道を介したメンタルトレーニングなど、「書道」の可能性と魅力を発信し続けている第一人者です。その活躍は日本だけにとどまらず世界へ。ニューヨークで個展を開催したり、イタリアミラノ万博で毛筆体験を実施し大成功させたりするなど、精力的にフィールドを広げています。

書道家、教育家、道徳家、そして二児の母。多くの顔を持つ今井さんのキーワードは「宮崎から世界へ」。着実に夢を具現化している今井さんの原動力にせまりました。


世界に日本文化の素晴らしさを発信する


▲2017年コペンハーゲン国デンマーク桜祭りにて・国際交流基金承認事業

2015年イタリアミラノ国際博覧会。「日本文化と伝統文化を五感で体験ブース」に、ひときわ目立つ長蛇の列がありました。今井さんが受け持つ「毛筆体験」です。

ヨーロッパの人々は、漢字の奥深さや筆の感触、「互いに描き合う」という文化にいたく感動していたといいます。初日は一つのブースを複数の日本人で担当していたのが、あまりの反響から最終日には今井さん専用ブースが設けられたほどでした。

今井さん「作品を宝物にしますと言ってくださる人がたくさんいて、日本の書道に対する興味の高さを初めて実感し、改めて日本文化を大切にしたいと思いました。書道文化を世界に広めるとともに、この経験を日本の子どもたちに持ち帰り伝えたいと思いました。」


16歳で「書道を通して周りから常に見られる存在」に



今井さんが書道に出会ったのは6歳のとき。瞬く間に頭角を現し、16歳のとき当時最年少で宮日総合美術展書道の部に入選を果たしました。

今井さん「賞をとったとき、顧問の先生に“新聞にも載ったしもうこれからは常に周りから見られている存在になった”と言われました。プレッシャーもありましたが、この言葉をきっかけに行動を正し、書道という存在が自分の中で特別なものになりました。

高校生のときは、2時間かかる書物を一日2枚書いていました。放課後20時まで拘束されて体力も精神もクタクタ。大学の4年間は毎日最低10時間を書道の時間にあてていました。お題に対してがむしゃらに書き込んでいた経験が今の礎になっています。」


宮崎から世界に勝負できることを、子どもたちに示したい


▲2013年まつりえれこっちゃみやざきパフォーマンス

大学で書道を専門的に学び、教師になった今井さん。小学校や特別支援学校の教員をしながら、書道の普及活動を行いました。そして2015年に退職、一念発起し書道家としての道を歩み始めました。

今井さん「私の人生プランでは55歳で早期退職して書道家に転身する予定でした。しかしこのタイミングで、同級生の川越達也シェフとのコラボ話やミラノ万博など、一気にチャンスが巡ってきたのです。夫に“機は熟した。その時が来たのではないか?”と背中を押され、職を辞し書道家に専念することを決めました。」

伝統文化芸術に携わる子どもが年々減少している日本の現実。宮崎も例外ではなく、書道人口は10年で1000人減と言われています。そんななかで、自身でできる役割を考えた結果でもありました。

「教員を退職した理由の一つに、“宮崎からでも世界に勝負できる”“書道家として稼ぎ活躍できる”と子どもたちに身をもって示したいという思いがありました。書道人口の減少を食い止める強さはなくても、書道の魅力をもう一回見直してもらえる存在にはなれるのではと思っています。」


ただ守るのではなく、「攻めることで守る」書道へ



教員から書道家一筋になり、書道との向き合い方にも変化があったといいます。

今井さん「教員の頃は“伝統文化を守る”ことを大切にしていました。今は“果敢にチャレンジ”していくことを理念に掲げています。書道の古典や言葉、漢字、歴史を尊重して新しいものに果敢にチャンレジしていくこと。そのことが結果的に、書道の素晴らしさやおもしろさを伝え“守る(継承する)”ことにつながるのではないかと思います。」

今は、全国や世界で個展やワークショップを開くかたわら、宮崎でのインバウンドレッスン、地場製品のロゴ制作など、宮崎を盛り上げるための活動も積極的に行っています。

今井さん「宮崎のロゴをつくるときは、商品の特徴を取り入れつつ、太陽や天孫降臨といった宮崎らしさを取り入れています。この土地に何があるのだろう、どんな風土が関係しているのだろう、名前の由来は何だろう、そんな意味付けを考えながらイメージを文字にしていきます。宮崎のお仕事をもらうたびに宮崎の魅力と奥深さを知っていきます。」


書道教室は宮崎でやるからこそ意味がある



世界で活躍する今井さんですが、現在も宮崎市、都城市、そして故郷の国富町で書道教室を開いています。現在は海外や県外者へ向けオンラインでの指導も行っています。

今井さん「やはり子どもに教えることも好きでやりがいを感じています。“教える”というよりは“継承する”という大事さを重視していますね。書道教室は社会貢献という意味合いも強く、海外でも都会でもなく宮崎でやっていないと私の根底が崩れ意味がないと思っています。いずれは師範チームを中心に移動教室なども行っていきたいです。

宮崎で書道をさらに発展させるためには、師範の育成も急務です。習う人の人口が減っていますが、教える人の人口と書道の新しい仕事が増えれば状況も少しかわるのではないかと思っています。“私がやらないで誰がやる!?”とずっと自分を鼓舞しています。使命感かもしれないですね。」


「ビジネス」としての書道を生み出す


▲むさし亭フィリピン店・店内文字

「書道の歴史と文字の力」と「宮崎が持つパワースポット的な付加価値」。その2つをかけ合わせ、新たな挑戦が始まりました。

プロスポーツ選手や企業向けに、宮崎で書道を使ったメンタルトレーニングを行うというものです。全国や世界から宮崎に出向いてもらい、宮崎の歴史と自然のパワーを感じながら五感を研ぎ澄まし自分に向き合う。“スポーツランド宮崎”と宮崎で育った今井さんだからこそできる、書道の新しい可能性です。

今井さん「書道の奥深さと宮崎にしかない付加価値を融合したものを提供し対価をいただけたら、“ビジネス”としての芸術文化の可能性が広がり、将来子どもたちにも書道という道を選択してもらえるかもしれません。芸術文化を“しごと”とすることは、決して容易ではありませんが、書道人口が減っている今こそ取り組まなければならない事だと思っています。」


「石の上にも3年」。言葉から力をもらう日々



今井さんが大切にしているのは「言葉」の力。文字の3300年の歴史、重みを絶やさず継承していく使命感が今井さんの原動力です。

今井さん「今年に入って、より早いスピードでさまざまな仕事のお話をいただくようになりました。このスピードの意味を考えてみて気がついたのです。“今年で教員を辞して3年が過ぎた。石の上にも3年だ”って。退職して3年間挑戦したり辛抱したりしてきた結果が、今出てきたのだなと納得しました。

昔の人が言っていたことって全てに意味がありますよね。そういう言葉の重みを体現でき、日本の美しさを伝えていける書道家の仕事を誇りに思います。」

とある雑誌の表紙に、今井さんの逆算手帳(将来設計表)の1ページが採用されました。表紙に美しい文字で書かれているのは、「“書道”で“宮崎”に新しい仕事を生み出す」という一文。「全国規模の雑誌の表紙に“宮崎”って文字が出るなんて嬉しいですよね!」と笑う今井さんの目は、常に未来を見据えています。

書道の美しい文化を発信し、ますます世界へ羽ばたいていく今井さんの活躍に注目です!


(Text:齋藤めぐみ)

今井美恵子:国富町出身。6歳より書道を始める。十六歳の時、当時最年少で宮日総合美術展書道の部に入選。大学に進学し書道を専門的に学びながら、さまざまな展覧会へ出品。大学卒業後、宮崎に帰省し教員として勤務しながら書道の普及活動を行う。2015年4月・県立学校での18年の教育現場を辞し、「宮崎から世界へ!」を胸に宮崎を拠点に書道家として新たな活動を始める。東京在住・石飛博光(いしとびはっこう)氏に師事。毎日書道展,創玄書道展など入選・入賞多数。
毎日書道展会友・創玄書道展会員・博光書道会評議員、シェラトングランデオーシャンリゾートホテル「TATUYA KAWAGOE MIYAZAKI」、博多阪急ビル内「SHANPOO BOY」、大分駅ビル内「コア・ファースト」などの店内を書でディスプレイ。

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